ダイエットと睡眠の関係
ダイエットと睡眠の関係はあるの?
睡眠不足は万病の元とよく言われます。
確かに寝不足だと仕事にしても勉強にしても何やっても効率が上がりません。
ダイエットにはどうなんでしょうか?
10数年前にTVで某女優が「役作りのために短期間で体重を大きく落とす必要があり、『食べない、飲まない、寝ない、運動をする』をやって短期間で落とした」と言っている方がいました。
どれほどの短期間で行う必要があったのかは分かりませんが、あまりにも無茶で危険だと思いました。
あちこちで聞く話として、睡眠不足は美容によくないばかりかダイエットにもよくないということです。
寝不足→起きている時間が長い、ということは体が活動している時間が長いので脂肪が燃焼して痩せやすくなるのでは?と素人考えてしてしまいますが現実はその逆で「寝ないと痩せない」そうです。
すべて科学的に解明されているわけでも無さそうですが、睡眠がダイエットに関係しているということでは以下が報告されています。
●人間はレム睡眠という脳が活動している浅い眠りと(この時に夢を見る)、脳が休息をとる深い眠りのノンレム睡眠があるが、レム睡眠の時にはエネルギー消費が大きいので十分な睡眠が必要であること。
レム睡眠とノンレム睡眠は大体90分周期で発生しているそうですが、布団に入って実際に脳が入眠状態になる時刻などはわかりませんし、朝目覚める時刻も目覚まし時計より早く起きることもあるので90分周期で計算して寝ることは非現実的です。
ですから「とにかく十分な睡眠を確保すること」が大切となります。よく言われる7~8時間が目安となるでしょう。
●これは科学的というよりも生活面からのことですが、夜遅く寝る習慣がついているとどうしても夕食が遅くなる、早めに夕食を採っても起きているということはエネルギー消費をしているので食事以外にも何か食べたくなってしまうことが多くなる。
寝る時刻に近いときに物を食べると消費されずに体に溜まるだけ=太る、ということになってしまう。
●睡眠時のホルモンが代謝に関係していると言われている。代謝や生体の基本活動には多くのホルモンが関係しているが睡眠時に「放出される」、「抑制される」ホルモンがある。
いくつか例をあげてみます。
*成長ホルモン: 「寝る子は育つ」と言いますが事実です。でもこれは子供だけのものではなくて大人になっても分泌されて身長は伸びなくても体の皮膚や筋肉などを再生(傷を治したり)したりする働きがあると言われているのです。だから大人になっても成長ホルモンが十分に出るような睡眠が望ましく、このホルモンが放出されるのは夜の10時から午前2時くらいと言われています。
*グレリン: 胃で作られる食欲を増進させるホルモンです。1999年に国立循環器病センターの児島将康と・寒川賢治氏によって発見された物質だそうです。睡眠不足になると増加するホルモンです。逆に食欲を抑えるホルモンが「レプチン」と呼ばれるものです。
*レプチン: グレリンと相反する物質で脂肪細胞によって作られ肥満の抑制に作用するものです。レプチンが多く出れば食欲が抑えられてダイエットに役立ちますがこれについては本記事内で後述します。
また寝不足だと肌が荒れる、とよく言いますよね。これは老若男女問いません。
吹き出物が増えたりもします。
そして「寝ないで働いた」とか「寝ないで勉強した」とかがたまに自慢話しになることがありますが、とんでもないことです。
労働の方は、日中ミスが多発したり会議で眠くなったり、業種によっては事故や大けがを起こすことがあります。
また勉強の方ですが、人間の脳の仕組みは「覚えたことを夜中に別の場所に移して記憶を固定させる」という仕組みになっています。
特に夜の10時から午前2時まで(前述した成長ホルモンと同じ時間帯です)に記憶の固定作業が行われるので、この時間に十分に寝ないとせっかく勉強した内容が脳に固定されずテストの時に思い出せなくなったりするのです。
もちろん人によっては夜中に働かなくてはいけない人もたくさんいます。
でも人間は夜寝るように脳や体が出来ていますので、短い時間でも仮眠をとって極力夜睡眠がとれるように工夫してみましょう。
食欲抑制物質であるレプチンが多く出るようにするには?
レプチンは食欲を抑制することによって体重を適正に保とうとする働きがあります。
つまり脂肪の量に対してレプチンの量も多く分泌されるということです。
でも摂取カロリーが多すぎたり、採る脂質が多すぎるとレプチンだけではどうしようもなくなります。
ですから基本は「充分な睡眠」+「適正適量の食事」+「適正な運動」になります。
まあそうは言っても・・・というのはおじさんも同じ考えですのでレプチンが多く出るようなことを調べてみました。
◆レプチンは食事を開始して約20分前後で働き始める。だから早食いすると太る、というのは理にかなっている。つまりゆっくり噛んでゆっくり味わう事が大事。
◆レプチンを多く出すためには亜鉛を多く含む食材を摂取するとよい。例としては以下のようなもの。
バナナ、牛乳、卵黄、緑茶、チーズ、牡蠣、レバー、牛肉、のり、蕎麦、アサリ、タラコなど。
必要に応じて亜鉛のサプリメントを併用するのもよい。
◆睡眠時間が減るとレプチンの量が減るとも言われているので、その人にあった適性の睡眠時間をとるようにする。
◆レプチンは脂肪が出るにしたがって出る(作用する)量が増えるのでダイエットで体重が落ちると落ちた分に比例してレプチンが減ってくる。
つまり体重が落ちてくると太りやすくなるということなので、体重が落ち始めたからと言って油断すると直ぐにリバウンドする。
適正体重に近づいてきたら、今度はその体重が増えない努力、或いは適正であり続ける努力が必要となる。
寝つきをよくするためには?
以上より睡眠不足はダイエットの大敵、そして仕事や勉強にも大敵ということが分かったと思います。
でも寝つきが悪いというのは睡眠を妨げる根底と言えますので、寝つきをよくする、寝つきを邪魔しないことを列挙してみますので参考にしてください。
▲寝る直前に食べたり飲んだりしない。特にアルコールはダメ。食事も就寝の3時間以上前が良い。
▲布団の中でスマホやゲームなど(PC操作も)はやらない。脳が興奮状態になるので寝つきが悪くなる。
そのようなことをしたら最低30分以上は何もせずリラックスしてから布団に入るとよい。
▲寝る前の読書も脳を興奮させるような内容の物は避ける。例えば来週行く旅行先の本や大好きな趣味の事の本なども脳を興奮させるので寝つきどころか深夜まで眠れなくなることもある。
▲就寝1~2時間前はなるべく運動も避けた方が良い。脳も体も興奮状態になる。しかし就寝直前でも軽いストレッチはよい。入眠は一度体温が上がって下がり始める時に眠くなるので、軽いストレッチで体温を上げてから布団に入ると早い時間でぐっすり眠れる。
▲就寝1時間くらい前までに入浴をする。シャワーではなくて浴槽に浸かるのが良い。やや低めの温度でゆっくり入るとよい。これも「一度体温を上げて下がり始める時に眠くなる」という体の仕組みに合致しており、深い睡眠を得られる。
まだまだ寝つきをよくする方法は各自あると思いますので工夫してみてください。
ただし「寝酒」は絶対にダメです。
酔えば短時間で入眠は出来ますが、睡眠自体は非常に浅くなります。
だから翌朝寝た気がせずに目が覚めたという人が多いのです。
出来ればですが、お酒は就寝3時間以上前までに終わらせるのが良いのです。でもおじさんも含めてなかなか難しいので就寝時間に近い時間に飲む時は極力量を控えることを心がけてみましょう。
とにかく睡眠不足は万病の元、何一つ良いことはありません。
「寝ないで・・・頑張った」というのは日本人が古来から大好きな中身のない精神論に過ぎないのです。
夜働かなければならない人もたくさんいますが、各自ぜひ工夫をして頂きたいと思います。